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2026.11.07

甘えない子は、甘えたくないのでしょうか?――「手伝って」と言える関係を育てる

困っていても、「手伝って」と言わない。

できないことがあると、急に怒ったり、やめてしまったりする。

悲しそうなのに、「大丈夫」と言って一人で抱え込む。

そんな姿を見て、「もっと頼ってくれたらいいのに」と思うことはありませんか。

一人でできることが多いと、周りからは「しっかりした子」と見られることもあります。

けれど、頼らないという姿だけで、助けがいらないとは判断できません。

この記事でいう「甘える」とは

ここでいう甘えるとは、何でも代わりにしてもらうことではありません。

「できないから手伝って」
「悲しかったから聞いて」
「一緒にいてほしい」

そんな自分の困りごとや気持ちを、人に伝えて支えてもらうことです。

言葉で言えなくても、手を差し出したり、近くに来たり、カードを見せたりする形もあります。

困ったときに人を頼れることも、生活を支える大切な力です。

甘え方がわからないこともあります

人を頼らない背景は、一つではありません。

  • 困っていることを、自分でも整理しにくい。
  • どんな言葉や方法で頼めばよいかわからない。
  • 自分でやりたい気持ちが強い。
  • 断られることや、失敗を見られることが気になる。
  • 言葉や触れ合い以外の方法で、支えを求めている。

その子がどれに当てはまるかは、様子を見て確かめる必要があります。

甘えないからといって、親の愛情不足や愛着の問題と決めつけることはできません。

① 小さな「困った」に気づく

たとえば、袋が開かず、黙って手を止めているとき。

すぐに全部してしまう前に、

「開けにくい?」
「少し手伝おうか?」

と、短く声をかけてみます。

「何で頼まないの?」と問い詰めるより、頼れる入口を用意します。

一方で、「お願いするまで絶対に手伝わない」と待ち続ける必要もありません。困り方が強いときは、まず助けます。

助けを求める練習のために、わざと追い詰めないことが大切です。

② その子が使える「お願い」を教える

「ちゃんと言って」と求めるだけでは、何を言えばよいかわからないことがあります。

「こんなときは、『手伝って』でいいよ」

と、使える表現を具体的に伝えます。

言葉が難しければ、

  • 手を差し出す。
  • 大人を指さす。
  • 「手伝って」のカードを渡す。
  • 覚えやすいサインを使う。

など、その子が使いやすい方法を選びます。

大切なのは、きれいな文章で言えることより、伝えたら相手に届いた、と経験できることです。

③ 頼ってきたときには、まず受け止める

「手伝って」と言えたときに、

「それくらい自分でできるでしょう」
「もっと早く言えばいいのに」

と返すと、せっかく伝えた困りごとを扱う前に、注意が始まってしまいます。

まずは、

「手伝ってほしかったんだね」
「教えてくれたね。どこを手伝おうか」

と受け止めてみます。

全部を代わりにする必要はありません。

「最初のところだけ一緒にやろう」
「ここを持っているから、引っ張ってみて」

という助け方もできます。

④ 悲しさや悔しさは、解決を急がない

失敗して泣いているとき、すぐに方法を教えたくなることがあります。

けれど、そのときに求めているのは、説明よりも「悔しかったね」とわかってもらうことかもしれません。

「できると思ったのに、できなくて悔しかった?」
「今は少し一緒にいようか」

気持ちは言い当てようとせず、確かめながら言葉にします。

落ち着いてから、「次はどうしようか」と考えればよい場面もあります。

添付の『アマトレのすすめ』で大切にされているのも、気持ちを受け止め、慰め、そのうえで伝え方や行動を教えるという順序です。

⑤ 甘え方は、抱っこやスキンシップだけではない

抱っこが苦手な子に、無理に抱きつく必要はありません。

隣に座る。
一緒に好きな遊びをする。
話を聞く。
困ったところだけ手伝う。

本人が受け入れやすい距離や方法を探します。

「もう大きいから甘えてはいけない」とする必要も、「もっと甘えて」と強く求める必要もありません。

まずは、頼ってもよい場面を日々の中につくっていきます。

「一人でできる」と「人を頼れる」を、両方育てる

自分で取り組むことと、人に助けを求めることは、両立できます。

一人で難しいときには伝える。
少し手伝ってもらい、また自分でやってみる。

そんな経験を重ねられる関わりを考えていきましょう。

「困ると怒ってしまう」
「何をしてほしいのか、うまく伝えられない」
「頼り方をどう教えたらよいかわからない」

発達支援教室クローバーでは、こうした姿を、気持ちとコミュニケーションの両面から整理します。

うちの子の問題を整理したい方は、アセスメント&アドバイスへ。

※強い不安や落ち込み、急な様子の変化、生活への大きな支障がある場合は、専門家への確認が必要です。「甘え方の練習」だけで対応を続けず、小児科や地域の相談機関に相談してください。

参考:細井晴代『アマトレのすすめ』提供資料/『ちょっと気になる子どもの発達支援』出版企画書/米国心理学会「Talking to kids when they need help」