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2026.09.26

「どう対応する?」の前に考えたい|子どもの行動の背景を読む力が、親子支援を変える

「叩いたときは、どう対応したらいいですか?」

「かんしゃくが起きたら、無視した方がいいですか?」

「何度言っても同じことをするのですが、どう注意すればいいでしょうか?」

発達相談をしていると、保護者の方からよく聞く質問です。

もちろん、具体的な対応方法を知ることは大切です。

でも最近の研究を見ていると、もう一つ、とても大切な視点が見えてきます。

それは、

「この行動の裏に、この子のどんな気持ちや意図、困りごとがあるのだろう?」

と考える力です。

「叩いたらこうする」

という対応方法を覚えるだけではなく、

なぜ叩いたのかを考えられる親になる。

今回は、そんな保護者支援についての新しい研究をご紹介します。

249人の自閉症児の保護者を対象にした研究

2026年、Autism Researchに、自閉症のある子どもの保護者を対象としたランダム化比較試験(RCT)が報告されました。

参加したのは、自閉症児の保護者249人。

保護者は、

・介入を受けるグループ
・待機するグループ

に無作為に分けられました。

介入はZoomで行われ、

週1回・90分を4週間

という比較的短いプログラムでした。

内容には、

・感情について理解すること
・感情を調整すること
・子どもの行動の背景にある気持ちや意図を考えること

などが含まれていました。

講義を聞くだけではありません。

実際の家庭での出来事を題材に考えたり、ロールプレイをしたり、家庭で振り返る課題にも取り組む構成でした。

Parental Reflective Functioningとは?

この研究で中心となったのが、

Parental Reflective Functioning(PRF)

です。

日本語にすると少し難しく聞こえますが、簡単に言えば、

子どもの行動を、その奥にある気持ち・考え・意図・状態と結びつけて考える力

です。

例えば、子どもが突然おもちゃを投げたとします。

そのとき、

「また投げた!」

「何度言ったら分かるの!」

と、行動だけを見ることもできます。

一方で、

「何があったんだろう?」

「終わりにしたくなかった?」

「うまく言葉で伝えられなかった?」

「音や人の多さでしんどくなっていた?」

「助けてほしかった?」

と考えてみる。

もちろん、本当の理由は本人にしか分からないこともあります。

しかし、

行動を“悪い行動”としてだけ見るのではなく、その背景を考えようとする。

これがPRFの重要な考え方です。

研究では、保護者側にどんな変化があった?

この研究では、介入を受けた保護者は待機群と比べて、

・子どもの内面を考える力(reflective functioning)
・育児に対する自己効力感
・感情は変化・調整できるものだという考え方

などに改善がみられました。

さらに、保護者報告による子どもの適応機能の一部、特にコミュニケーションや概念的適応機能にも改善が報告されました。

効果は、特に年少児の保護者で目立っていました。

「正しい対応を教える」だけではない保護者支援

これまでの保護者支援では、

「○○したときには、こう対応しましょう」

という形が多く使われてきました。

それ自体はとても大切です。

でも、子どもの行動は毎回同じ理由で起こるとは限りません。

例えば「叩く」という同じ行動でも、

・欲しいものを取られた
・言いたいことが伝わらなかった
・予定が変わった
・相手に近づきたかった
・もう限界だった
・やめてほしかった

など、背景は違います。

背景が違えば、当然、必要な支援も違います。

だから私は、

「この行動にはこの対応」だけを覚えるより、行動の理由を一緒に考えられることが重要

だと考えています。

例えば「叩く」をどう見るか

子どもが友達を叩いたとします。

もちろん、叩く行動自体は止めます。

安全を守ることが最優先です。

その上で、

「なぜ叩いたのか」

を考えます。

例えば、

①「返して」が言えなかった

おもちゃを取られた。

でも、

「返して」

と言えない。

その代わりに手が出た。

この場合に必要なのは、

「叩かない!」

と繰り返すことだけではありません。

「返して」と伝える方法を教えること

かもしれません。

②遊びをやめたくなかった

「もう終わり」

と言われた瞬間に叩いた。

この場合は、

切り替えの難しさが背景にあるかもしれません。

必要なのは、

見通しを作ったり、

「あと1回」

という終わり方を教えたりすることかもしれません。

③しんどさが限界だった

騒がしい場所。

人が多い。

長時間がんばった。

そこで最後に手が出た。

この場合、

叩く直前だけを見ても原因は分かりません。

その前から負荷が積み重なっていなかったか

を見る必要があります。

「子どもの気持ちを当てる」ことが目的ではありません

ここは誤解しやすいところです。

子どもの行動を見て、

「あなたはこう思ったんでしょ」

と決めつけることがPRFではありません。

大切なのは、

「もしかして○○だった?」

「それとも違う?」

と、

分からないことを分からないまま、考え続けられること

です。

親だからといって、子どもの気持ちを全部分かる必要はありません。

むしろ、

「この子のことは全部分かっている」

と決めつけるより、

「何が起きているのだろう?」

と考えられる方が、子どもを丁寧に見ることにつながります。

保護者が「自分で考えられる」ようになる支援

私は、保護者支援で大切なのは、

毎回、

「先生、今回はどうしたらいいですか?」

と答えをもらうことだけではないと思っています。

最終的には保護者自身が、

「今回は、言葉で言えなかったのかな」

「いつもより疲れていたかもしれない」

「今日は見通しがなかったから荒れたのかな」

と、子どもの行動を整理できるようになる。

そして、

「では次は、これを試してみよう」

と考えられる。

そこまでいくと、

家庭で起こる新しい問題にも対応しやすくなります。

クローバーでも「行動の背景」を大切にしています

発達支援教室クローバーでも、

「問題行動をなくす」

だけを目的にはしていません。

例えば、かんしゃくがあるときには、

「かんしゃくを止めるにはどうするか」

だけではなく、

・伝えたいことが伝えられているか
・見通しが持てているか
・待つことが難しいのか
・切り替えが難しいのか
・助けを求める方法を知っているか

などを見ていきます。

そして、

その子に必要な、

「伝える」

「待つ」

「切り替える」

「助けを求める」

といった力を少しずつ増やしていきます。

保護者の方にも、

「今回の行動は、何が背景にありそうか」

を一緒に考えていただきます。

「正解を教えてもらう」から「一緒に考えられる」へ

子育てでは、新しい問題が次々に起こります。

昨日までなかったことが始まる。

学校が変わる。

友達関係が変わる。

要求されることも変わる。

そのたびに、

「この場合の正解は何ですか?」

と聞かなければならないと、保護者はずっと不安なままです。

だからこそ、

子どもの行動を見て、背景を考え、対応を組み立てる力

を保護者自身が持つことには大きな意味があります。

最新の研究でも、こうした「子どもの内面を考える力」を直接育てる保護者支援に可能性が示されています。

まとめ|行動を見るだけでなく、その奥を見る

子どもが、

叩く。

投げる。

泣く。

怒る。

逃げる。

拒否する。

同じことを繰り返す。

そんなとき、

行動だけを見て、

「どうやってやめさせよう」

と考えたくなります。

でも、その前に一度、

「この子に、何が起きているのだろう?」

と考えてみてください。

そこに、

伝えられない気持ち。

見通しのなさ。

困りごと。

不安。

疲れ。

助けを求めるサイン。

が隠れているかもしれません。

正しい対応を一つ覚えるより、

その子を読み解く力を育てる。

これからの保護者支援で、私はこの視点をもっと大切にしていきたいと考えています。

お子さんの行動の「なぜ?」を一緒に整理します

「何度言っても同じことをする」

「かんしゃくの理由が分からない」

「叩く・投げるがなかなか減らない」

「いろいろな対応を試したけれどうまくいかない」

そんなとき、

対応方法を増やす前に、

その行動がなぜ起きているのか

を整理すると、見えてくるものがあります。

発達支援教室クローバーでは、お子さんの様子とご家庭での状況を一緒に整理し、

「何が背景にあるのか」

「今、何を身につけると生活が楽になるのか」

「家庭では何を試すのか」

まで具体的に考えます子どもの問題行動、どう対応する?「なぜこの行動をするのか」を考える新しい保護者支援

「叩いたときは、どう対応したらいいですか?」

「かんしゃくが起きたら、無視した方がいいですか?」

「何度言っても同じことをするのですが、どう注意すればいいでしょうか?」

発達相談をしていると、保護者の方からよく聞く質問です。

もちろん、具体的な対応方法を知ることは大切です。

でも最近の研究では、もう一つ大切な視点が注目されています。

それは、

「この行動の裏に、この子のどんな気持ちや意図、困りごとがあるのだろう?」

と考える力です。

「叩いたらこうする」

「泣いたらこう対応する」

と対応方法を覚えるだけでなく、

なぜ、その行動が起きたのかを考えられるようになること。

今回は、そんな保護者支援についての新しい研究をご紹介します。

自閉症児の保護者249人を対象にした研究

2026年、自閉症のある子どもの保護者を対象にしたランダム化比較試験(RCT)が報告されました。

参加したのは、自閉症児の保護者249人です。

保護者は、

・介入を受けるグループ
・待機するグループ

に無作為に分けられました。

介入はZoomで行われ、

週1回・90分を4週間

という比較的短いプログラムでした。

内容には、

・感情について理解する
・感情を調整する
・子どもの行動の背景にある気持ちや意図を考える

といった要素が含まれていました。

講義を聞くだけではなく、家庭で起きた出来事を振り返ったり、ロールプレイをしたりする構成です。

Parental Reflective Functioningとは?

この研究で中心となったのが、

Parental Reflective Functioning(PRF)

です。

少し難しい言葉ですが、簡単に言えば、

子どもの行動を、その奥にある気持ち・考え・意図・状態と結びつけて考える力

です。

例えば、子どもが突然おもちゃを投げたとします。

そのとき、

「また投げた!」

「何度言ったら分かるの!」

と、行動だけを見ることもできます。

一方で、

「何があったんだろう?」

「終わりにしたくなかった?」

「うまく言葉で伝えられなかった?」

「疲れていた?」

「助けてほしかった?」

と考えてみる。

もちろん、本当の理由は本人にしか分からないこともあります。

だから大切なのは、

子どもの気持ちを当てることではありません。

「こうかもしれない」

「でも違うかもしれない」

と、決めつけずに考えることです。

研究では、保護者にどんな変化があった?

この研究では、介入を受けた保護者は待機群と比べて、

・子どもの内面を考える力
・育児に対する自己効力感
・感情についての考え方

などに改善がみられました。

また、保護者から見た子どものコミュニケーションや一部の適応行動にも改善が報告されています。

特に、年齢の低い子どもの保護者で効果が目立っていました。

「正しい対応を教える」だけではない保護者支援

これまでの保護者支援では、

「○○したときには、こう対応しましょう」

という形が多く使われてきました。

それ自体は大切です。

ただ、子どもの行動は、毎回同じ理由で起こるとは限りません。

例えば「叩く」という同じ行動でも、

・欲しいものを取られた
・言いたいことが伝わらなかった
・予定が変わった
・相手に近づきたかった
・もう限界だった
・やめてほしかった

など、背景は違います。

背景が違えば、必要な支援も変わります。

だから、

対応方法を覚えるだけでなく、その子の行動の背景を読み解く力も育てる。

これが、これからの保護者支援でとても大切だと考えます。

例えば「叩く」をどう見るか

子どもが友達を叩いたとします。

もちろん、叩く行動自体は止めます。

安全を守ることが最優先です。

その上で、

「なぜ叩いたのか」

を考えます。

①「返して」が言えなかった

おもちゃを取られた。

でも、

「返して」

と言えない。

その代わりに手が出た。

この場合に必要なのは、

「叩かない!」

と繰り返すことだけではありません。

「返して」と伝える方法を教えること

かもしれません。

②遊びをやめたくなかった

「もう終わり」

と言われた瞬間に叩いた。

この場合は、

切り替えの難しさが背景にあるかもしれません。

必要なのは、

見通しを作ったり、

「あと1回」

という終わり方を教えたりすることかもしれません。

③しんどさが限界だった

騒がしい場所。

人が多い。

長時間がんばった。

そこで最後に手が出た。

この場合、

叩く直前だけを見ても原因は分かりません。

その前から負荷が積み重なっていなかったか

を見る必要があります。

「子どもの気持ちを当てる」ことが目的ではありません

ここは、とても大切です。

子どもの行動を見て、

「あなたはこう思ったんでしょ」

と決めつけることがPRFではありません。

むしろ、

「もしかして○○だった?」

「それとも違う?」

と考えることです。

親だからといって、子どもの気持ちを全部分かる必要はありません。

大切なのは、

分からないことを、分からないまま考え続けること。

「この子のことは全部分かっている」

と決めつけるより、

「何が起きているのだろう?」

と考えられる方が、子どもを丁寧に見ることにつながります。

保護者が「自分で考えられる」ようになる支援

保護者支援で大切なのは、

毎回、

「先生、今回はどうしたらいいですか?」

と答えをもらうことだけではないと思っています。

最終的には保護者自身が、

「今回は、言葉で伝えられなかったのかな」

「いつもより疲れていたかもしれない」

「今日は見通しがなかったから荒れたのかな」

と、子どもの行動を整理できるようになる。

そして、

「では次は、これを試してみよう」

と考えられる。

そこまでいくと、家庭で新しい問題が起きたときにも対応しやすくなります。

クローバーでも「行動の背景」を大切にしています

発達支援教室クローバーでも、

「問題行動をなくす」

だけを目的にはしていません。

例えば、かんしゃくがあるときには、

「かんしゃくを止めるにはどうするか」

だけではなく、

・伝えたいことが伝えられているか
・見通しが持てているか
・待つことが難しいのか
・切り替えが難しいのか
・助けを求める方法を知っているか

などを見ていきます。

そして、

その子に必要な、

「伝える」

「待つ」

「切り替える」

「助けを求める」

といった力を少しずつ増やしていきます。

保護者の方にも、

「今回の行動は、何が背景にありそうか」

を一緒に考えていただきます。

まとめ|行動を見るだけでなく、その奥を見る

子どもが、

叩く。

投げる。

泣く。

怒る。

逃げる。

拒否する。

同じことを繰り返す。

そんなとき、

行動だけを見て、

「どうやってやめさせよう」

と考えたくなります。

でも、その前に一度、

「この子に、何が起きているのだろう?」

と考えてみてください。

そこに、

伝えられない気持ち。

見通しのなさ。

困りごと。

不安。

疲れ。

助けを求めるサイン。

が隠れているかもしれません。

対応方法を覚えるだけでなく、その子の行動の背景を読み解く力も育てる。

これからの保護者支援で、私はこの視点を大切にしていきたいと考えています。

お子さんの行動の「なぜ?」を一緒に整理します

「何度言っても同じことをする」

「かんしゃくの理由が分からない」

「叩く・投げるがなかなか減らない」

「いろいろな対応を試したけれど、うまくいかない」

そんなとき、

対応方法を増やす前に、

その行動がなぜ起きているのか

を整理すると、見えてくるものがあります。

発達支援教室クローバーでは、お子さんの様子とご家庭での状況を一緒に整理し、

「何が背景にあるのか」

「今、何を身につけると生活が楽になるのか」

「家庭では何を試すのか」

まで具体的に考えます。

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参考文献

Enav Y, Kirsman N, Erhard Weiss D, Mayer Y.
Seeing the Child Within: A Randomized Controlled Trial of Reflective Functioning Intervention for Parents of Autistic Children.
Autism Research. 2026;19(8).
DOI: 10.1002/aur.70301。