2026.10.14
「相手が嫌がっているのに、やめられない」
「お友達が怒っている理由が分からない」
「何度説明しても、人の気持ちが分からないように見える」
そんな様子があると、
「この子は人の気持ちが分からないのかな?」
「思いやりがないのでは?」
と心配になることがあります。
でも、まず知っておいてほしいことがあります。
「人の気持ちを理解する力」は、一つの能力ではありません。
相手を見る。
表情を見る。
何が起きたか理解する。
自分と相手では考えが違うと気づく。
言葉の意味を考える。
相手の立場を想像する。
こうしたいくつもの力が組み合わさって、私たちは相手の気持ちを考えています。
だから、
「もっと人の気持ちを考えなさい」
と言うだけでは、できるようにならないことがあります。
今回は、家庭でできる5つのトレーニングを紹介します。
最初に増やしたいのが、
気持ちを表す言葉
です。
「うれしい」
「悲しい」
「怒っている」
だけではありません。
例えば、
「悔しい」
「恥ずかしい」
「困った」
「びっくりした」
「心配」
「がっかりした」
「嫌だった」
「迷っている」
などがあります。
日常生活の中で、
「負けて悔しかったね」
「急に予定が変わって困ったね」
「できるか心配だったんだね」
と、大人が言葉を添えていきます。
ただし、
「あなたは絶対こう思った」
と決めつけないことも大切です。
「悔しかった?」
「それとも違った?」
と確認します。
自分の気持ちを理解することは、他者の気持ちを考える土台の一つになります。
よくある練習に、
「この顔はどんな気持ち?」
という表情カードがあります。
もちろん、それも一つの方法です。
ただ、実際の生活では、表情だけで人の気持ちを判断しているわけではありません。
例えば、
A君が一生懸命作った積み木を、B君が間違えて壊してしまいました。
A君は黙って下を向きました。
このとき、
「どんな顔?」
だけではなく、
「その前に何があった?」
「A君は何をしていた?」
「一生懸命作ったものが壊れたら、どんな気持ちになるかな?」
と、
出来事と気持ちを結びつけて考えます。
人の気持ちを理解するときに大切なのが、
自分が知っていることと、相手が知っていることは違う
ということです。
家庭でも簡単なクイズができます。
例えば、
お父さんがお菓子を冷蔵庫から棚に移しました。
お母さんは、その場を見ていません。
そこで、
「お母さんは、お菓子がどこにあると思っているかな?」
と聞きます。
子どもは棚に移したことを知っています。
でもお母さんは知りません。
「あなたは見たから知っているね」
「でもお母さんは見ていないね」
「だから、知っていることが違うんだね」
と整理します。
また、
「私はイチゴが好き」
「あなたはブドウが好き」
というように、
人によって好みや考え方が違う
経験をたくさん言葉にしていくこともできます。
ここは、とても大切です。
私たち大人でも、
人の気持ちを100%正確に読むことはできません。
だから、
「ちゃんと相手の気持ちを読みなさい」
だけを目標にする必要はありません。
むしろ覚えてほしいのは、
分からないときは、確認していい
ということです。
例えば、
「嫌だった?」
「まだ使っている?」
「一緒にやっていい?」
「どうしてほしい?」
「これでいい?」
こうした言葉を具体的に教えます。
これは、
相手の心を当てる練習ではありません。
分からないときに、人と確認しながら関係を作る力
を育てています。
友達とのトラブルが起きたとき、
「どうしてそんなことしたの?」
「相手の気持ちを考えて!」
と問い詰めても、本人には分からないことがあります。
そんなときは、出来事を順番に整理します。
例えば、
「一緒に遊びたかった」
↓
「何も言わず、おもちゃを取った」
↓
「友達が怒った」
という出来事なら、
次回は、
「一緒にやっていい?」
と言ってみる。
それだけでも十分です。
目的は、
悪かったことを何度も確認することではありません。
次に使える方法を一つ増やすことです。
同じように、
「相手の気持ちが分からない」
ように見える子でも、理由は違います。
例えば、
・表情に気づきにくい
・状況を理解するのが難しい
・自分がやりたいことに集中している
・言葉を文字通り受け取りやすい
・自分と相手の考えが違うことに気づきにくい
・分かっていても行動を止められない
・どう確認したらいいか分からない
などです。
ここを全部、
「人の気持ちが分からない」
でまとめてしまうと、何を教えればよいか分からなくなります。
家で聞けば、
「この子、怒ってる」
と答えられる。
絵カードでも正解できる。
でも実際の友達関係ではできない。
そんなこともあります。
実際の遊びでは、
相手の話を聞く。
表情を見る。
周囲を見る。
自分の気持ちを調整する。
答えを考える。
行動する。
といったことを同時に行わなくてはいけません。
だから、
机の上で分かることと、実生活で使えることは別
なのです。
家庭で練習したことを、実際の生活の中でも少しずつ使えるようにしていきます。
相手が泣いているのに笑っている。
嫌がっているのに近づいていく。
そんな様子を見ると、
「どうして人の気持ちが分からないの?」
と思うことがあります。
でも、
本当に気持ちが理解できないのか。
相手の表情に気づいていないのか。
どう対応すればいいか分からないのか。
自分の行動を止められないのか。
によって支援は違います。
行動だけを見て、その子の気持ちまで決めつけないこと。
これは大人にも大切なことです。
子どもが人の気持ちを理解できないように見えるとき、
「もっと相手の気持ちを考えなさい」
だけでは、何をしたらよいのか本人には分からないことがあります。
家庭では、
1.気持ちを表す言葉を増やす
2.表情だけでなく状況から考える
3.自分と相手は違うと知る
4.分からなければ確認する
5.トラブルを次の作戦に変える
この5つから始めてみてください。
そして一番大切なのは、
「できない」のではなく、「どこで分からなくなっているのか」を見ることです。
そこが分かれば、その子に必要な支援が見えてきます。
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発達支援教室クローバーでは、
「人の気持ちを理解できない」
という言葉だけで判断せず、
実際のお子さんの様子から、
「表情を見るところで困っている?」
「状況の理解?」
「言葉?」
「切り替え?」
「自分の気持ちの調整?」
と、一つずつ整理していきます。
そして、
今のお子さんに何を教えるとよいのか。
家庭で何を練習するとよいのか。
を具体的に考えます。
家庭でいろいろ試しているけれどうまくいかない。
友達とのトラブルを繰り返している。
学校での人間関係が心配。
そんな場合には、一度、お子さんの行動を整理してみませんか。