2026.09.24
「大人とはよく話せるのに、同年代の子とは遊べない」
「年下の子とは楽しそうなのに、クラスでは一人でいることが多い」
「家族とは普通に会話できるのに、学校では友達ができにくい」
こんな様子があると、
「人付き合いが苦手なのかな」
「協調性がないのかな」
「このまま友達ができなかったらどうしよう」
と心配になることがあります。
でも、
大人や年下とは関われるのに、同年代が苦手
という子は少なくありません。
そしてこれは、
「人が嫌い」
「友達が欲しくない」
という単純な話でもありません。
同年代との関係では、大人や年下との関係よりも、実はたくさんの力が同時に必要になります。
今回は、なぜ同年代との関係だけ難しくなるのかを、発達支援の視点から考えてみます。
大人と子どもの関係では、多くの場合、大人側が合わせてくれます。
子どもが話したいことを聞く。
分かりにくい言葉を言い換える。
順番を待つ。
話題を広げる。
困っていれば声をかける。
つまり、
大人がコミュニケーションを調整してくれている
ことが多いのです。
一方、同年代の子ども同士では、そうはいきません。
「今、一緒に遊びたい」
「私は違う遊びがしたい」
「それ貸して」
「今使ってる」
「次は私」
「それは違うよ」
というやり取りが、次々に起こります。
その中で、
相手を見る。
自分の希望を伝える。
相手の希望も聞く。
妥協する。
順番を待つ。
ルールを理解する。
遊びが変わったらついていく。
嫌だったら断る。
といったことを、短時間で処理する必要があります。
そのため、
1対1では話せるのに、同年代の集団になると難しい
ということが起こります。
子どもの遊びには、説明されないルールがたくさんあります。
たとえば鬼ごっこ。
正式なルールだけではなく、
「この辺りまでなら逃げていい」
「今はちょっと休憩」
「この子はまだ小さいから少し手加減する」
といった、その場だけのルールがあります。
ごっこ遊びでも、
「今日はお店屋さん」
「じゃあ私はお客さん」
「今度は泥棒が来たことにしよう」
と、設定がどんどん変わります。
こうした変化に気づいて、その場で合わせていく力が必要です。
発達特性のある子の中には、
決まったルールなら理解できても、
その場で変わるルールや、言葉にされない約束が分かりにくい
子がいます。
すると周囲からは、
「勝手なことをする」
「ルールを守らない」
と思われてしまうことがあります。
でも本人は、
「ルールが変わったこと自体に気づいていない」
だけかもしれません。
本人は一緒に遊びたい。
でも、
どうやって入ればいいか分からない。
そんな子もいます。
遊んでいる子の横にずっと立っている。
急におもちゃを取る。
いきなり自分の話を始める。
遊びの途中から勝手に参加する。
こうした行動が、
「空気が読めない」
「距離感がおかしい」
と受け取られることがあります。
でも実際には、
「仲間に入れて」の方法を知らない
ということがあります。
これは、具体的に教えることができます。
たとえば、
「一緒にやっていい?」
「何してるの?」
「次、入っていい?」
という言葉を、実際の場面で使う練習をします。
「仲良くしなさい」
ではなく、
仲良くするための具体的な行動を教える
ことが大切です。
好きなことについては、どんどん話せる。
知識も豊富。
大人からは、
「よく知っているね」
「すごいね」
と言われる。
ところが同年代の友達になると、少し違います。
相手にも、
話したいことがあります。
自分の興味があります。
そのため、
自分の好きな話を続けるだけでは、会話が続きにくくなることがあります。
会話には、
話す力だけでなく、
相手の反応を見る力
も必要です。
相手が楽しそうか。
もう飽きていないか。
話題を変えたそうではないか。
自分ばかり話していないか。
こうした調整が難しいと、会話の知識が豊富でも友達関係ではつまずくことがあります。
大人は、子どもが答えるまで待ってくれることがあります。
でも、子ども同士では、
「行こう!」
「次これ!」
「じゃあこっち!」
と、展開がとても速いです。
考えているうちに話題が変わる。
やっと答えようとしたら、もう別の遊びになっている。
そんなこともあります。
すると本人は、
「何をしたらいいか分からない」
状態になりやすくなります。
特に、
言葉を理解して返事を考えるまでに少し時間が必要な子では、集団のスピードについていくだけでも大変です。
同年代の関係で難しいのは、
相手の気持ちを見るだけではありません。
自分の気持ちも調整しなければいけません。
「本当はもっと遊びたい」
でも、相手はやめたい。
「そのおもちゃが欲しい」
でも、相手も使っている。
「自分のルールでやりたい」
でも、みんなは違う方法で遊びたい。
こうした場面で、
少し待つ。
譲る。
交代する。
別の案を受け入れる。
という力が必要になります。
そのため、
友達関係の問題が、
実は「人の気持ちを理解する力」ではなく、
待つことや切り替えることの難しさ
から起きていることもあります。
年下の子との関係では、自分が主導しやすくなります。
遊び方を決める。
教えてあげる。
自分の得意なことを見せる。
相手がついてきてくれる。
そのため、やり取りの予測がしやすくなります。
また年下の子は、
多少一方的に話しても聞いてくれることがあります。
その結果、
年下とは上手に遊べるのに、同年代とは衝突する
ということが起こることがあります。
これは、
「年下の子が好きだから問題ない」
とだけ考えるより、
同年代との関係で何が難しくなっているのかを見た方がよい場合があります。
ここも大切です。
すべての子どもが、大勢の友達と遊ばなければいけないわけではありません。
一人の時間が好きな子もいます。
少人数の関係を好む子もいます。
年齢の違う人との関係が心地よい子もいます。
ですから、
「同年代と遊ばない」
というだけで、すぐに直す必要があるとは限りません。
見るべきなのは、
本人が困っているかどうか
です。
本人は一人で満足しているのか。
本当は遊びたいのに入れないのか。
友達とのトラブルで学校に行きたくなくなっているのか。
からかわれたり、孤立したりしていないか。
ここを見分けることが重要です。
友達関係は、
自然に身につく子もいれば、
具体的に教えた方が分かりやすい子もいます。
たとえば、
「仲良くしなさい」
ではなく、
「一緒にやっていい?って聞いてみよう」
と教える。
「ちゃんと貸してあげて」
ではなく、
「あと1回やったら交代しよう」
と教える。
抽象的な指示を、
実際に使える言葉や行動に変える
ことがポイントです。
友達とのトラブルがあったとき、
「なんでそんなことしたの?」
と聞き続けても、本人には分からないことがあります。
そんなときは、
「何をしたかった?」
「相手は何をしたかった?」
「どこで困った?」
「次はどう言えばよさそう?」
と整理します。
反省させることよりも、
次に使える方法を一つ増やす
ことを目標にします。
大人数が苦手な子に、
「みんなと遊びなさい」
と言っても難しいことがあります。
まずは、
気の合いそうな子と1対1。
短時間。
好きな遊び。
ルールが分かりやすい活動。
という環境から始める方法もあります。
友達関係も、一度に高度なものを求める必要はありません。
友達関係で困っている子を見るとき、
「社会性がない」
「コミュニケーションが苦手」
という大きな言葉でまとめてしまうと、支援方法が分からなくなります。
実際には、
・遊びに入り方が分からない
・ルールの変化についていけない
・相手の表情に気づきにくい
・会話が一方的になる
・待つことが難しい
・負けることが受け入れられない
・自分の希望を譲ることが難しい
・困ったときの言葉を知らない
など、一人ひとり違います。
「友達が苦手」ではなく、「どこで困っているか」まで分ける。
ここまで分かると、支援方法が見えてきます。
大人や年下とは関われるのに、同年代とはうまく遊べない。
そんなとき、
「協調性がない」
「友達付き合いができない」
と考える必要はありません。
同年代との関係には、
遊びのルールを理解する。
相手を見る。
自分の気持ちを伝える。
相手の希望を聞く。
待つ。
切り替える。
妥協する。
といったたくさんの力が必要です。
そのどこか一つが難しいだけでも、友達関係は大変になります。
大切なのは、
「友達と遊べるようにしなければ」と焦ることではなく、その子がどこで困っているのかを見つけることです。
そこが分かれば、教え方も具体的になります。
「相手の気持ちを考えて」と言っても伝わらないときに、家庭でできる具体的な練習を紹介しています。
人と同じものを見る、相手が何を見ているかに気づく。
こうした力は、会話や友達関係の土台になります。
同じ「友達が苦手」という状態でも、原因は一人ひとり違います。
発達支援教室クローバーでは、お子さんの実際の様子から、
「どこでつまずいているのか」
「何を練習すると生活が楽になるのか」
を具体的に整理していきます。
「友達と遊びたいのに入れない」
「トラブルが何度も繰り返される」
「同年代の子とうまく関係が作れない」
という場合には、一度、お子さんの行動を細かく見てみることをおすすめします。