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2026.09.23
子どもが人の気持ちを理解できないとき|家庭でできる5つのトレーニング
「相手が嫌がっているのに、やめられない」 「お友達が怒っているのに、なぜ怒っているのか分からない」 「何度説明しても、人の気持ちが分からないように見える」 そんな様子があると、 「この子は人の気持ちが分からないのかな」 「思いやりがないのでは?」 と心配になる保護者の方もいると思います。 でも、まず知っておいてほしいことがあります。 人の気持ちを理解する力は、一つの能力ではありません。 相手の表情を見る力。 その場で何が起きているかを見る力。 自分とは違う考え方があると気づく力。 言葉の裏にある意味を考える力。 そして、分からないときに相手に確認する力。 こうしたいくつもの力が組み合わさって、私たちは「相手の気持ち」を理解しています。 発達特性のある子どもの中には、その一部分に苦手さがある子がいます。 だから、「もっと人の気持ちを考えなさい」と何度注意しても、なかなかうまくいかないことがあります。 必要なのは叱ることではなく、 どこで分からなくなっているのかを見つけ、具体的に教えることです。 今回は、家庭でもできる5つの練習を紹介します。 1.「うれしい・悲しい」だけでなく、気持ちを言葉にする 最初に増やしたいのが、「気持ちを表す言葉」です。 たとえば、 「うれしい」「悲しい」「怒っている」 だけではありません。 「悔しい」「恥ずかしい」「困った」「びっくりした」「心配」「がっかりした」「嫌だった」「迷っている」 など、人の感情にはたくさんの種類があります。 子ども自身が経験した場面で、 「負けて悔しかったね」 「急に予定が変わって困ったね」 「できるか心配だったんだね」 と、大人が気持ちと言葉を結びつけていきます。 ポイントは、 「あなたはこう思ったでしょ」と決めつけないこと。 「悔しかった?」 「嫌だった?」 「それとも違う?」 と確認します。 自分の気持ちを言葉にできることは、他人の気持ちを考える土台にもなります。 2.表情だけでなく「何が起きたか」から考える 「この顔はどんな気持ち?」 という表情カードの練習もあります。 もちろん、それも一つの方法です。 ただ、実際の生活では、顔だけを見て人の気持ちを判断しているわけではありません。 たとえば、 A君が一生懸命作っていた積み木を、B君が間違えて壊してしまった。 A君は何も言わず、下を向いている。 このとき、 「どんな顔?」 だけではなく、 「その前に何があった?」 「A君は何をしていた?」 「それが壊れたら、どんな気持ちになる可能性がある?」 と、状況と気持ちをセットで考えます。 人の気持ちを理解するのが苦手な子では、相手の顔より先に「自分がしたいこと」に注意が向いていることもあります。 そんなときには、 「相手を見なさい」 だけではなく、 人を見る→状況を見る→起きたことを整理する という順序そのものを教えていきます。 3.「自分と相手は違う」をゲームにする 人の気持ちを理解するときに難しいのが、 自分が知っていることと、相手が知っていることは違う という部分です。 家庭では簡単なクイズにできます。 たとえば、 お母さんが見ていないところで、お父さんがお菓子を冷蔵庫から棚に移したとします。 そこで、 「お母さんは、お菓子がどこにあると思っているかな?」 と聞いてみます。 大切なのは正解させることではありません。 「あなたは棚に移したのを見たよね」 「でも、お母さんは見ていなかったね」 「だから、知っていることが違うんだね」 と整理します。 ほかにも、 「私はイチゴが好きだけど、あなたはブドウが好き」 「同じものを見ても、好きな人と嫌いな人がいる」 など、普段の生活の中で、 人によって考え方や感じ方が違う という経験をたくさん作ります。 4.分からないときは「聞いていい」と教える ここは、とても大切です。 私たち大人でも、人の気持ちを100%正確に読み取ることはできません。 ですから、 「ちゃんと相手の気持ちを読みなさい」 だけを目標にすると苦しくなります。 むしろ覚えてほしいのは、 分からないときには確認していい ということです。 「嫌だった?」 「まだ使ってる?」 「一緒にやっていい?」 「どうしてほしい?」 こうした言葉を、具体的に練習します。 これは、人の心を読む練習というより、 人間関係で困ったときに確認する力を育てる練習です。 実生活では、こちらの方が役に立つことも少なくありません。 5.トラブルの後に「反省会」ではなく作戦会議をする 友達とのトラブルが起きたとき、 「なんでそんなことしたの?」 「相手の気持ちを考えて!」 と聞いても、本人には分からないことがあります。 そんなときは反省させるより、 紙に簡単な絵を描いて整理してみます。 ①何があった? ②あなたは何をしたかった? ③相手は何をしたかった? ④相手は何と言った? ⑤次に同じことがあったらどうする? この5つです。 たとえば、 「一緒に遊びたかった」↓「急におもちゃを取った」↓「相手が怒った」 のであれば、 次回の作戦を、 「貸して」 ではなく、 「一緒にやってもいい?」 にする。 それだけでも構いません。 大切なのは、 「悪かったこと」を何度も確認するのではなく、「次に使える行動」を一つ増やすことです。 「人の気持ちが分からない」の中身は、一人ひとり違います 同じように、 「お友達とうまく関われない」 という子でも、理由は違います。 ・相手の表情に気づきにくい・自分が遊びたい気持ちが強く、相手を見る余裕がない・言葉の意味を文字通り受け取りやすい・遊びのルールが分からない・どう声をかければいいか分からない・嫌がっているサインが分からない・自分の気持ちを止めることが難しい・緊張すると、覚えていた方法が使えなくなる など、さまざまです。 ですから、 「人の気持ちを理解する練習をすればいい」 だけでは不十分なことがあります。 まず、その子がどの段階で困っているのかを見ることが重要です。 家ではできるのに、園や学校ではできないこともあります 絵カードを見れば答えられる。 家で聞けば分かる。 でも、実際に友達と遊ぶとうまくできない。 これは珍しいことではありません。 実際の友達関係では、 話を聞く。 表情を見る。 周囲を見る。 自分の気持ちを抑える。 返事を考える。 相手の反応を見る。 といったことを短い時間に同時に行わなければなりません。 そのため、机の上で覚えたことを、実際の生活の中で使えるようにしていく練習も必要です。 まとめ|「人の気持ちを考えて」だけでは教えたことにならない 子どもが人の気持ちを理解できないように見えるとき、 「もっと人の気持ちを考えなさい」 だけでは、どうすればいいか本人には分からないことがあります。 家庭では、 1.気持ちを表す言葉を増やす2.表情だけでなく状況から考える3.自分と相手は違うことを経験する4.分からなければ確認する方法を教える5.トラブルを次の作戦に変える この5つから始めてみてください。 そしてもう一つ大切なのは、 できない行動だけを見ず、「なぜできないのか」を見ることです。 友達関係のトラブルが続く場合、 同じ「人の気持ちが分からない」という状態でも、必要な支援は一人ひとり違います。 発達支援教室クローバーでは、実際のお子さんの様子を見ながら、 「どこにつまずいているのか」 「今、何を練習すると生活が楽になるのか」 を整理していきます。 家庭でいろいろ試しているけれどうまくいかない、 友達とのトラブルが増えてきた、 園や学校での人間関係が心配、 という場合には、一度お子さんの行動を整理してみることをおすすめします。 あわせて読みたい 発達障害の子が同年代を苦手にするのはなぜ? 「大人や年下とは遊べるのに、同年代になるとうまくいかない」という子には、年齢の近い相手だからこそ必要になる力があります。 ジョイントアテンションとは? 人と同じものを見る、相手の興味に気づく――こうした力は、会話や友達関係の土台になります。 家庭で試しても、うまくいかないときは 「人の気持ちが分からない」と見える子でも、 ・相手の表情に気づきにくい・その場の状況を読み取ることが難しい・自分と相手の考えが違うことに気づきにくい・どう声をかければいいか分からない・分かっていても、その場では行動できない など、困っている場所は一人ひとり違います。 そのため、同じ練習を繰り返すだけでは、なかなか変わらないこともあります。 発達支援教室クローバーでは、お子さんの実際の様子を見ながら、 「どこでつまずいているのか」 「今、何を教えると生活が楽になるのか」 を整理して支援しています。 何度説明しても同じトラブルが続く、友達関係が心配、家庭でどう教えたらいいか分からないという場合は、一度ご相談ください。 → 発達支援教室クローバーの相談・アセスメントはこちら
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2026.09.21
同年代より大人を好む;「子どもらしくない」ではなく、わかりやすい相手を選んでいる
お母さんの気持ち 園や学校で、同年代の輪より先生のそばにいる。親戚の集まりでも、子ども同士より大人の会話の端にいる。 「この子、子どもらしくないのかな」「同年代と遊べない子だと思われてないかな」 先生に「お友達とも遊べるように」と言われるたびに、胸がざわつく——そんなお母さんは少なくありません。 でも、大人を好むのは、わがままや性格の問題だけではありません。 なぜ大人のほうがいいのか 大人は、子どもより「予測しやすい相手」です。 話のテンポが合わせてもらえる ルールを説明してくれる 拒否されにくい 気持ちを言葉で補ってもらえる 同年代は、急にルールが変わる、声が大きい、入る隙がない——刺激が多く、読みにくい。 発達に凸凹がある子は、人と関わる脳(いわゆる社会脳)の負荷が高いことがあります。だから、負荷の低い大人を選ぶ。これは適応であり、失敗ではありません。 甘えや安心の土台がまだ母親(や特定の大人)に集中している段階でも、同じことが起きます。人への関心は、 母親 → 他の大人 → 友達 の順で広がりやすいです。大人を好む時期は、その途中であることが多いです。 家庭でできること 1. 「大人好き=問題」と決めつけない 大人と楽しそうに話せているなら、それは対人関係の成功体験です。「友達に切り替えさせなきゃ」と急ぐより、「人と関われている」を認めていい。 2. 大人との関わりを、友達への橋にする いきなり同年代の輪に入れなくて大丈夫です。 先生と一緒に、他の子の近くに立つ 大人が仲介して「貸して」「ありがとう」を短く練習する 大人がいる並行遊び(同じ遊びを隣で)から始める 大人が「通訳」になる期間があっていいです。 3. お母さんが「比較の目」から少し離れる 「同年代と遊べてこそ一人前」——その固定観念が、母親を追い込みます。社会は理解しないくせに、母親にだけ責任を押し付けがちです。 今日は「先生と笑顔で話せた」で十分、という日があっていい。 お母さんのケア 大人を好む子を見て、「このままで社会に出られるのか」と夜に不安が回る。できなくて当然の不安です。 子どもを直す前に、お母さんの見方を一つだけ変える——「わかりやすい相手を選んでいる」と見られると、焦りが1ミリ軽くなることがあります。 まとめ 大人好みは、負荷の低い相手への適応であることが多い 人への関心は、大人のあとに友達へ広がりやすい 大人を橋にして、並行遊びからでいい うちの子の「好きな相手」の意味を整理したい方へ→ アセスメント&アドバイス
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2026.09.19
同年代の子と遊ばない;「遊べない子」ではなく、関わり方の地図がまだないだけ
お母さんの気持ち 公園で、同じ年の子たちがグループで遊んでいる。うちの子は砂場の端で、一人。 「どうして同年代と遊べないの」「このまま友達ができないんじゃないか」 ママ友の「昨日○○ちゃんと遊んだの」が刺さる。帰り道、子どもの背中を見ながら、胸が痛む——そんな日があります。 でも、それはあなたの育て方が悪いからではありません。 なぜ同年代と遊ばないのか 同年代の遊びは、実はかなり高度です。 ルールが速い 言葉のキャッチボールが必要 相手の表情・意図を読む 「入るタイミング」が読めないと置いていかれる 発達に凸凹がある子にとって、同年代は「刺激が多く、予測しにくい相手」になりやすいです。 物は予測できます。ボールは転がる。積み木は積める。人は、話しかけたら何が返ってくるかわからない。笑いかけても無視されるかもしれない。 だから、まずは一人や、大人、年下など「わかりやすい相手」を選ぶことがあります。興味がないのではなく、難易度が高すぎるのです。 遊びの発達段階 友達関係は、一気に「一緒に遊ぶ」にはなりません。 一人遊び … 近くに人がいても、自分の遊びに集中 並行遊び … 同じ場所・同じおもちゃの近くで遊ぶ(一緒にはやらない) 連合遊び … 同じ遊びを共有し始める 協同遊び … 役割を分けて遊ぶ 「同年代と遊ばない」は、多くの場合、段階1〜2にいるサインです。性格の欠陥ではありません。 家庭でできること 1. 「一緒に遊べ」より「近くにいられる」を成功にする 今日のゴールを下げます。 同年代の近くに5分いられた 同じ砂場にいた 輪の端で様子を見ていた これも関わりの一歩です。「遊んだ/遊ばない」の二択で見ると、変化が見えなくなります。 2. まず安心できる相手から広げる 人への関心は、だいたいこの順で広がります。 母親 → 他の大人(先生など) → 友達 家庭で「一緒に見て・一緒にやって・気持ちが通じた」体験を増やすと、次の相手への余白が生まれやすいです。無理に同年代へ押し出さなくて大丈夫です。 3. 比較の場面から、お母さんの心を守る 公園・行事・写真——同年代比較は、お母さんの自責を強くしやすい場所です。「今日は公園に行けた」で帰っていい日があっていい。勝負にしなくていい。 お母さんのケア 「友達がいない=不幸」「同年代と遊べない=失敗」——社会はそう見がちです。でも、関わり方の地図は、急かしても増えません。地図がないまま押し出すと、子も母も消耗します。 焦って当然です。わからなくて当然です。あなたのせいじゃない。 まとめ 同年代遊びは難易度が高い。興味ゼロとは限らない 一人・並行の段階にいるだけ、という見方ができる まずは安心できる関係から。同年代は次のステップでいい うちの子の場合、いまどの段階にいるのか整理したい方へ→ アセスメント&アドバイス
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2026.09.17
「待つ」がわからなくて大荒れする
① 最初の困りごと ほしいものが目の前にあるのに、「クリスマスにもらえるよ」が通じない。今ほしい、と大荒れする。 保護者の方は、こだわりなのか、駄々なのか、区別がつかず、毎回押し切られるか、大喧嘩になるか、になっていました。 ② 何を観察したか いつ:ほしい物が目の前にあるとき、約束の「あとで」が出た直後 何の直後か:「待つ」ということばは聞こえているが、感覚として分かっていないとき 言葉:心配だと何度も同じことを言って安心する、という確認も並行している 環境:図示して「待つ=叶うまでの間」と見せると、すっと納得した こだわりに見えても、中身は「本当に今ほしい」と、「待つ」の概念がまだないことでした。 ③ 実際にした支援 「そっか、ほしいね。買えなくて悲しいね。でもクリスマスにもらえるよ」と気持ちだけ返す 流してよい、と保護者の方に伝える(議論で勝たない) 「待つ」を図で示す している/していない、など、つまずきを感覚・概念の問題として見る ④ どう変わったか 家で「待つ」を図示したあと、すーっと納得して怒らなくなった、と報告がありました。保護者の方は大発見だった、と話しています。 すべてが消えたわけではありませんが、「通じない子」が「概念がなかった子」に変わりました。 ⑤ 親はどう変わったか 「だだをこねる子」ではなく、「まだ『待つ』の地図を持っていない子」と見る目が変わりました。 押し切るか怒鳴るか、以外の第三の手が見えると、外出前の心臓の音が少し違います。 ⑥ 最後に一般化 同じ「今すぐほしい」でも理由は一人ひとり違います。この方法をすべてのお子さんに当てはめるものではありません。 うちの子の場合を整理したい方へ →アセスメント&アドバイス
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2026.09.15
教室では抑えるのに、放課後デイで叩いてしまう
教室では抑えるのに、放課後デイで叩いてしまう ① 最初の困りごと 家や教室では落ち着いてきたのに、放課後の場で子どもを叩く、噛む、と報告が続きました。 保護者の方は、「結局、治っていないのでは」と落ち込み、施設の先生に反論できず、子どもを管理してしまう自分にも疲れていました。 ② 何を観察したか いつ:したくないことを求められたとき、疲れてコートをかけたくないとき、「自分でして」と厳しく言われた直後 何の直後か:お願いのルート(「手伝って」)が示されないまま、我慢だけを求められたあと 言葉:目を見ずに言葉だけ出せば誰かが動く、と学習している可能性(学校ではつきっきりで通ってきた) 環境:教室では机を叩くまでに制御できる。場が変わると、溜まったものが人に出る 「二重人格」ではありません。場のルールと、頼む練習の量が違っていました。 ③ 実際にした支援 「したくない」が出たら、最初から「手伝って」と言わせて通す 仕返しで止めるより、される前に「怖いから離れます」と分かりやすく距離を取る 家でも同じ手順を練習する 管理が続くと荒れやすいので、保護者の方が抱えすぎない選択(距離の取り方、継続の見直し)も整理する 生きやすくするための支援なので、怒らせないことが正義、でも押しつけだけでもない、その間を取りました。 ④ どう変わったか 人ではなく机を叩く段階を経て、つねるが出た時期もあります。弱い力で、過渡期でした。 連れ戻しに行くことが減り、叩く威力もほぼなくなりました。のちの記録では、放課後の場がとても苦痛だったとわかり、怒らない・手も出ない、という言葉の発達と一緒に報告されています。 ⑤ 親はどう変わったか 「施設で怒られる自分が悪い」から、「この場では何が起きているか」を見る側に戻りました。 子どもを管理して止めようとするほど荒れる、という構造が見えると、自責だけが回り続ける時間が短くなります。 ⑥ 最後に一般化 同じ「叩く」でも理由は一人ひとり違います。この方法をすべてのお子さんに当てはめるものではありません。 うちの子の場合を整理したい方へ→アセスメント&アドバイス
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2026.09.13
噛む・叩くがひどく、言葉がない
噛む・叩くがひどく、言葉がない ① 最初の困りごと 気に入らないことがあると、噛む、叩く。言葉はない。 外出すると、人に手が行ってしまうかもしれない。保護者の方は、人に会うこと自体が怖くなっていました。 ② 何を観察したか いつ:思いどおりにならないとき、したくない課題の直後、人が近いとき 何の直後か:ことばで止められない/わかってもらえない、と感じたあと 言葉:最初は言葉なし。サインの「やって」から入る段階 環境:教室では机を叩くまでに留まることがある。放課後などの場では人に出やすい。不安だと同じことを繰り返して確認する 噛む子、で終わらせると見えなくなるものがあります。このお子さんの場合、伝え方がないことと、不安の確認が重なっていました。 ③ 実際にした支援 「やって」をサインから教え、自発になるまで待つ(このお子さんでは約4か月) 発語が乗ってきたら「ありがとう」「やめて」を足す 難しい課題のあとは、人を叩かず机を叩く、ことば(かなしい・くやしい)に替える練習 繰り返す確認には、「心配だ」と言葉をのせる 成功しやすい課題から積み、暴発しやすい状況をいきなりゼロにはしませんでした。 ④ どう変わったか 1年後、二語文が出て、暴力は減りました。ゼロではありませんでした。 3年後、三語文くらいをぺらぺら話すようになり、暴力を自分で抑えようとする様子が見えました。教室では人を叩かず、机を叩くことが中心になりました。 その後の記録では、暴力は全くない時期もあり、二語文がベースラインになっています。 ⑤ 親はどう変わったか 「噛む子」ではなく、「心配を確認している子」「ことばが間に合っていない子」と見る目が変わりました。 人に会うことへの怖さが、少しずつ「今日は机で済んだ」に更新されていきました。 ⑥ 最後に一般化 同じ「噛む」でも理由は一人ひとり違います。この方法をすべてのお子さんに当てはめるものではありません。 うちの子の場合を整理したい方へ→アセスメント&アドバイス
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2026.09.11
いやなことがあると、ひっくり返って笑う
いやなことがあると、ひっくり返って笑う ① 最初の困りごと いやなこと、困難なことがあると、椅子から滑り落ちてひっくり返って笑いだす。 保護者の方は、ふざけていると思われそうで、強く止めたくなり、止めると余計に長くなる、というループに入っていました。 ② 何を観察したか いつ:難しい課題、気の進まない提案の直後 何の直後か:ことばで「それいやだ」が間に合わないとき 言葉:「やめて」「すわってほしい」は、大人が先にモデルを出せば通じ始める 環境:お願いを続け、「ありがとう」で区切ると、短い時間で戻る ふざけではなく、困難からの退避でした。 ③ 実際にした支援 「それいやだ、やめて」とお願いを続ける 「すわってほしい」と願い、「ありがとう」で締める まね遊びなど、成功しやすい課題を挟む パニックが減ってごねる段階に入ったら、慰められる経験を増やす ④ どう変わったか ひっくり返る時間は短くなりました。ずっこけるのも一瞬だけになりました。 挨拶が促されなくてもできるようになり、咳でむせたお母さんにティッシュを持ってきて「どうぞ」と言える、という報告もありました。以前は我関せずだった、とのことです。 ⑤ 親はどう変わったか 「ふざけている」から「いやの退避だ」に見方が変わると、強く止めなくても戻ってこられます。 子どもの行動を見る目が変わると、家庭の空気も少し柔らかくなります。 ⑥ 最後に一般化 同じ「ひっくり返る」でも理由は一人ひとり違います。この方法をすべてのお子さんに当てはめるものではありません。 うちの子の場合を整理したい方へ→アセスメント&アドバイス
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2026.09.10
同じことを何度も聞いてくる(不安の確認)
同じことを何度も聞いてくる(不安の確認) ① 最初の困りごと 暴言はないのに、同じことを繰り返す。確認しないと落ち着かない。 保護者の方は、答えているのにまた聞かれる日々に疲れ、「この子はわかっていないのか」と自分を責めていました。 ② 何を観察したか いつ:予定が気になるとき、心配が頭に残っているとき 何の直後か:確認を止めたとき、不安がことばにならないとき 言葉:くり返しは質問というより、安心の儀式に近い 環境:繰り返したときに「心配だ」と言わせると、気持ちの練習になる 抑えつけると机を叩く、という流れも見えていました。不安の出口を塞ぐと、身体に出ます。 ③ 実際にした支援 繰り返したときは「心配だ」と言葉をのせる 難しい課題でも、人ではなく机・ことばに替える 不安をゼロにするより、出口(ことば)を増やす しりとりなど、やりとりの成功体験を足す ④ どう変わったか 難しいものをしても人を叩かず、「かなしい」「くやしい」が出るようになりました。しりとりもできるようになりました。 心配の繰り返しはすぐには消えませんでしたが、言わなくてもよくなる方向を期待できる段階に入りました。暴力がない時期には、ことばがベースになっています。 ⑤ 親はどう変わったか 「また同じ話」が、「今、心配なんだ」に翻訳できるようになりました。 答えを完璧に用意しなくてもいい、と分かると、母親のほうの息も続きます。 ⑥ 最後に一般化 同じ「何度も聞く」でも理由は一人ひとり違います。この方法をすべてのお子さんに当てはめるものではありません。 うちの子の場合を整理したい方へ→アセスメント&アドバイス
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2026.09.09
いやと言えない。選択できない
いやと言えない。選択できない ① 最初の困りごと 好き嫌いがはっきりしない。聞かれても答えられない。マイルドに嫌なことは断れず、後で崩れる。 保護者の方は、「どっちでもいい」と答える子を、意思がないのかと思っていました。 ② 何を観察したか いつ:足ふみする? しよっか? など、提案された直後 何の直後か:強い嫌は「しません」と言える。弱い嫌は黙る/「どちらでもいい」 言葉:はっきりした「いや」は出始めている。微妙な嫌はまだ 環境:黙ると「どちらでもいい」に誘導されやすい。自己肯定感が下がりやすい 嫌を飲み込む練習を続けると、セルフイメージが低くなります。だから、小さな嫌を言う練習が先です。 ③ 実際にした支援 足ふみする?に「いや」と言えたら、しない(通す) 「しません」を認める 少しでも嫌そうなら「やめたい」と言えるように導く Tシャツや好きな色など、選びやすい場面から成功を増やす ④ どう変わったか 「しよっか」に「しません」と言えるようになりました。好き嫌いがはっきりし、選べるようになってきました。 ただし、マイルドな嫌はまだ断れない、という課題は残っています。全部言えるようになった、とは書いていません。 ⑤ 親はどう変わったか 迷惑をかけてはならない、できることを増やさなければならない、と思いすぎていた、と気づく場面がありました。 「選べた」を喜べると、母親のほうが先に息をつけます。 ⑥ 最後に一般化 同じ「選べない」でも理由は一人ひとり違います。この方法をすべてのお子さんに当てはめるものではありません。 うちの子の場合を整理したい方へ→アセスメント&アドバイス
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2026.09.07
終わる・待つとき叫んでしまう
終わる・待つとき叫んでしまう ① 最初の困りごと 終わる、暇になると不安になり、叫ぶ。待つ、待つ、と声を荒げる日がある。 保護者の方は、公共の場で終わるたびに心臓が上がり、予定を短く切るしかなくなっていました。 ② 何を観察したか いつ:活動の終わり、待ち時間、次が決まっていない隙間 何の直後か:「待て」だけが先行し、「大丈夫」がないとき 言葉:叫ぶのは、不安の出口。気持ちの言葉はまだぽつぽつ 環境:終わりを予告し、安心の言葉に替えると、叫びが短くなる わがままな要求というより、空白が怖い、に近い動きでした。 ③ 実際にした支援 「待つ」を連呼する代わりに、「大丈夫」に言葉を変える 終わりのあいさつ(ありがとうございました、さようなら)を型にする 始まりは「おねがいします」を入れる 成功する終わり方を、短い活動から増やす ④ どう変わったか 気持ちの言葉がぽつぽつ出るようになりました。終わりのあいさつがだんだん入り、椅子から落ちる(ずっこける)ごまかしも、一瞬だけになりました。 難しいときのパニックっぽさは、なくなったと記録されています。ごねる段階に入ったのは、気持ちが整ってきた証拠、と見ています。 ⑤ 親はどう変わったか 叫ぶたびに「私が悪い終わり方をした」と責めるより、「空白が怖いんだ」と見られるようになりました。 予定を全部なくすのではなく、終わりの型を一つ持って出られるようになります。 ⑥ 最後に一般化 同じ「待つと叫ぶ」でも理由は一人ひとり違います。この方法をすべてのお子さんに当てはめるものではありません。 うちの子の場合を整理したい方へ→アセスメント&アドバイス

